BLOG ブログ

中小企業経営強化税制とは? 即時償却・税額控除を利用して投資しよう!

中小企業経営強化税制とは? 即時償却・税額控除を利用して投資しよう!

この記事では、中小企業経営強化税制について、わかりやすく解説しています。

新型コロナウイルス感染症は季節性インフルエンザなどと同様の5類感染症に位置づけられ、これまでに行われていた様々な制限がなくなり、経済活動の制約がなくなりました。
しかし、新型コロナウイルスの影響はまだまだ残っており、小規模事業者や中小企業にとっては、厳しい状況が続いています。

それを踏まえて、日本政府も、補助金をはじめとして、小規模事業者や中小企業の経営力の強化と持続的な成長を支援するために、さまざまな制度を設けています。
そうした制度の一つに、「中小企業経営強化税制」というものがあります。

これは、中小企業等が経営力を強化するための計画を策定して、その計画に基づく投資を行う場合に、税金が軽減される制度です。

この記事では、「中小企業経営強化税制」がどのような制度で、どのように使えて企業にとってどのようなメリットがあるのかを、わかりやすく説明していきます。
売上や利益アップのための投資をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

「中小企業経営強化税制」とは?

「中小企業経営強化税制」とは、小規模事業者や中小企業が策定した経営計画に基づいて新たな設備を導入し、事業を行う場合に、税金を軽減する制度です。

たとえば、ある製品の生産量を増やすために、機械を1,000万円で購入したいと考えているとしましょう。
この時、この購入する機械を使って売上高や利益をこんな感じに増やしていきます、といったような内容の「経営力向上計画」という経営計画を策定し、国の認定を受けたうえで、機械を購入すると、次の①か②の適用を受けることができるというものです。

  • ① 即時償却
  • ② 取得価額の 10 %の税額控除

 

それぞれ、どのようなものか、以下で具体的に見てみましょう。

① 即時償却

即時償却とは、機械等の購入費用の全額を、購入した年の損金として計上できるというものです。

通常、1,000万円の機械を購入した場合には、何年もかけて費用計上していくため、1,000万円全額を損金(税金を計算する時の元となる利益から差し引くことのできる費用のこと)とすることはできません。
しかし、中小企業経営強化税制では、購入した機械の費用全額を損金として計上することができます。

たとえば、利益が2,000万円ある場合、

【通常】
1,000万円の機械を購入して、その年に計上できる損金は、償却期間を5年、定額法で減価償却すると仮定した場合、200万円(=1,000万円÷5年)なので、税率を、計算を簡単にするため、30%とすると、税金額は以下のようになります。
 (2,000万円 - 200万円)× 30% = 540万円

【即時償却】
即時償却を使うと、機械の購入費1,000万円の全額をその年の損金として計上できるので、税金額は以下のようになります。
 (2,000万円 - 1,000万円)× 30% = 300万円

差し引き、240万円税金が減るということになります。

② 取得価額の 10 %の税額控除

こちらは、取得価額の10%を法人税額から差し引くことができる、というものです(ただし、資本金3,000万円超の法人は7%)。
先ほどの事例の条件を用いると、1,000万円×10%=100万円を通常の税金額から差し引くので、納税額が
 540万円 - 100万円 = 440万円

になります。

このように、中小企業経営強化税制を利用すると、普通に投資をする場合に比べて、税金を節約することができるのです。

中小企業経営強化税制を利用するためには?

このような税制メリットのある中小企業経営強化税制ですが、利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 1. 中小企業者等であること
  • 2. 一定の設備を新規取得すること
  • 3. 指定事業の用に供すること
  • 4. 指定期間内に行われること
  • 5. 経営力向上計画に基づく投資であること

 

それぞれ簡単に説明すると、
まず、「1. 中小企業者等であること」とは、基本的には、「資本金の額が1憶円以下の法人」または「従業員数が1,000人以下の個人」に該当することです。

次に、「2.  一定の設備を新規取得すること」とは、「生産性や投資収益率が向上する設備」やIoT機器を新たに購入することです。

「3. 指定事業の用に供すること」とは、購入した機械等を、国が指定する業種の業務で実際に利用することです。
「国が指定する業種」とはありますが、一部の業種・営業が対象外とされているだけで、ほとんどの業種が「指定事業」とされています。

「4. 指定期間内に行われること」とは、中小企業経営強化税制を利用できる期間のことで、2025年3月31日までとなっています。

「5. 経営力向上計画に基づく投資であること」とは、その機械の購入が「経営力向上計画」という事業計画の中で定められている、ということです。

こうした要件を満たした場合に、中小企業経営強化税制を利用することができます。

経営力向上計画とは?

要件の中に、「経営力向上計画に基づく投資であること」とあります。
この『経営力向上計画』とはどのようなものでしょうか。

『経営力向上計画』とは、国が認定する、中小企業者が自社の経営力を高めるための事業計画のことです。
内容としては、自社の経営状況を踏まえて、経営課題を設定、その課題を克服して経営力を高めるための具体的な対策とその実施のための目標指標(KPI)を設定する、というものになっています。

こうしたことを申請書3枚程度に記載して、国(正しくは、その事業を所管する省の大臣)の認定を受けると、事業者には、様々なメリットがあり、その中の一つが中小企業経営強化税制です。

中小企業経営強化税制以外のメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例
  • 中小企業事業再編投資損失準備金の利用
  • 日本政策金融公庫の特別融資
  • 信用保証協会による別枠の設定
  • 許認可承継の特例
  • 事業譲渡の免責的債務引受の特例  など

 

特に、事業承継に関しての特例が設けられているため、事業承継を考えている企業の方は、中小企業経営強化税制以外の制度についても利用を検討されるとよいでしょう。

まとめ

中小企業経営強化税制について、簡単に解説してきました。

中小企業経営強化税制とは、中小企業の経営力を高める投資を促進するための優遇税制で、設備投資などにかかった費用について、即時償却またはその費用の10%(一部企業は7%)を税額控除することができます。
この税制を利用するためには、

  • 1.「資本金の額が1憶円以下の法人」または「従業員数が1,000人以下の個人」である
  • 2.「生産性や投資収益率が向上する設備」やIoT機器を新たに購入する
  • 3. 国が指定する業種の業務で実際に利用する
  • 4. 2025年3月31日までに行う
  • 5. 購入する設備や機器が『経営力向上計画』の中に定められている

ことが必要でした。

 

そして、『経営力向上計画』とは、中小企業者が自社の経営力を高めるための事業計画のことで、国の認定を受ける必要があるのでした。

このように、中小企業経営強化税制を利用するためには、『経営力向上計画』の作成と国による認定が必要になります。
このように書くと、認定を取るのは難しそうと思われるかもしれませんが、『経営力向上計画』の作成では、認定経営革新等支援機関のサポートを受けることができます

認定経営革新等支援機関とは、国が認定した、中小企業や小規模事業者の経営課題の解決を支援する個人や法人のことです。

当事務所は認定経営革新等支援機関の認定を受けていますので、『経営力向上計画』の作成サポートが可能です。
※認定に関する情報はこちら
※認定支援機関に関する情報はこちら

この記事を読んで、『経営力向上計画』の作成をお考えになられたら、ぜひ以下のリンクから当事務所にご相談ください。

ご相談いただく際には、事前に、画面下にある「お問い合わせ」から、ご希望の日時やご相談内容などをお知らせください。
所用により不在にしていることがございますので、電話・訪問をいただいても対応できないことがございますので、ご相談いただく際には、事前に、画面下の「お問い合わせ」から、ご希望の日時やご相談内容などをお知らせください。

CONTACT
お問い合わせ

当事務所へのご依頼・お問い合わせは、お電話またはメールフォームより受け付けております。
どうぞ、お気軽にご連絡ください。